神技ともいえるクロワゾネダイヤルの製作は、釉薬を重ね塗りし、その都度焼いて磨いて仕上げていきます。
製作するのは、その道35年の七宝焼きの達人、武藤哲次郎氏。
精緻なステンドグラスを思わせる「透胎七宝」の技術も極める稀有の存在です。
19もの過程を経て、厚みの微調整を行った土台となる銀板に、数種類の釉薬を脱イオン水で、独自に穂先をそろえた面相筆で丹念に絵づけをします。
そうして十分に乾燥させ、800度前後に調整した電気炉で焼入れを行うのですが、その温度ひとつとっても、その日の気温や温度によって微妙に変わってくるというまさに職人の勘が頼りの作業です。
焼成後に、予想通りに発色したものだけが進むことのできる次の工程では、焼き入れの際に飛散した釉薬や酸化物を、キサゲという特殊な治具で丹念に取り、水に浸しておいた朴(ほお)か桐の炭で磨き上げます。
磨き終わるとさらに洗浄後、乾燥させてようやく二盛目へと入ります。

初代ワールドタイムミニッツリピーターは、こうした絵付け(盛り)を三度にわたって繰り返し、透明感と深みをもつ美しき青き世界をつくりあげましたが、今回はさらにもう一度絵付けの回数を増やし、独特のブラウンの質感を表現しました。
こうした一連の作業を何度も繰り返すことによって、発色ムラや透明度が低いものは容赦なく破棄し念入りにチェックしていきながら、完成品へと至るのです。
あえて手間のかかる方法で、職人の手作業によってつくられるクロワゾネダイヤルの味わいは一枚一枚微妙に異なります。
それはすべてがハンドメイドによって作られたという証でもあるのです。
あなただけのために焼き上げられた一枚をぜひ、ご鑑賞ください。